VOICE 04ヤマサ醤油株式会社 様
人事/給与計算の業務を効率化し、制度改革を含めた「攻め」の人事施策を推進
380年近くの歴史を持つヤマサ醤油株式会社。2023年8月には西日本エリアで初となる滋賀竜王工場が稼働開始するなど、国内外にビジネスを広く展開しています。
同社では人事情報を長年、紙の人事台帳で管理してきたため、情報を参照する際は逐一原簿を確認する必要がありました。これまでもExcelでの管理やシステム導入を検討してきたものの、業務の運用にフィットせず、切り替えるタイミングをなかなかつかめなかったといいます。
一方では、以前から利用してきた給与計算パッケージの保守サービス終了にあたり、新たなツールを探す必要に迫られていました。そこで同社は基幹システムの刷新を機に、給与システムの更新と人事管理システムの導入を本格的に検討することにしました。
■企業情報
社名:ヤマサ醤油株式会社 様
https://www.yamasa.com/
本社:千葉県銚子市
業種:食品
事業内容:醤油の製造・販売、各種調味料の製造・販売、医薬品類の製造・販売、その他
従業員数:864名(2022年12月現在)
売上高:572億円(2022年12月期)
■お客様導入モジュール
SAP®SuccessFactors®
(Employee Central/ Employee Central Payroll)
■ご利用のオデッセイソリューション
SAP® SuccessFactors®による給与システムの更新と人事管理システムの新規導入
導入の背景
- 既存の給与計算パッケージの保守サービス終了
- 紙の台帳ベースの人事管理業務のシステム化
- オンプレミス環境で運用してきたシステムの管理の効率化
SAPおよびオデッセイを選択した理由
- SAP S/4HANAとの親和性・連携性への期待
- インフラ構築が不要なSaaSソリューション
- タレントマネジメントを見据えた人事管理機能
- オデッセイの豊富な導入経験で培ったSAP人事ソリューションに関する知見
導入効果
- 人事給与関連業務のシンプル化・効率化
- 人事企画室の対応業務範囲の拡大(採用・研修等)
- 給与明細のWeb化による紙の給与明細の廃止
- ワークフローによる申請業務の効率化
- SaaS化によるITインフラの運用負荷軽減
豊富な導入実績と知見を持つオデッセイの技術力に期待
複数の人事給与パッケージを比較した中から同社がSAP SuccessFactorsを採用した理由を、経理・総務本部 部長 情報システム管理室長の網谷佳久氏は次のように語ります。
「検討した2018年当時、基幹システムをSAP S/4HANAに移行するプロジェクトが進行中だったため、そことの親和性を評価しました。運用する人事部門の負担を考慮しても、SaaSソリューションであることや、UIがわかりやすいこともポイントになりました。一番の決め手は人事管理の機能です。将来的にタレントマネジメントを本格化するうえで、人事部門の武器になると可能性を感じました」
そして導入パートナーに、SAP SuccessFactorsの導入実績が豊富なオデッセイを選定しました。
「当時のSAP SuccessFactorsの導入実績は超大手企業が多く、従業員1,000人程度の当社のような規模での採用は多くありませんでした。その中で100の企業グループにおよぶ導入実績と、豊富な知見を持つオデッセイの技術力に期待しました。実際、SAP SuccessFactorsの人事管理と給与管理の標準的な機能連携がうまくいかず、非常に苦労していた時にも、オデッセイからの提案と技術サポートで乗り切ることができました」(網谷氏)
「組織パフォーマンスの最適化に向けて、SAP SuccessFactorsのさまざまなモジュールを活用しながらタレントマネジメントを強化し、適材適所の人材配置を進めていきます」
網谷 佳久 氏
ヤマサ醤油株式会社 経理・総務本部 部長 情報システム管理室長
初期導入後、人事制度を再設計し標準機能に合わせて修正対応を実施
プロジェクトは2018年10月から開始し、2019年11月に本社と関連会社2社で本稼働。2022年10月に関連会社1社を追加しました。導入のポイントは、初期導入では“業務にシステムを合わせる”アドオン開発を実施したことと、2023年度からの新たな人事制度への移行時には“標準機能に合わせ直す”修正対応を実施したことにあります。
「初期導入は既存の給与計算を再現することを最優先しました。その後、SAP SuccessFactorsの標準機能を参考に新人事制度を設計し、標準機能に戻しました。結果的に2段階導入になりましたが、初期導入時にSAP SuccessFactorsへの理解を深めたことで、標準に戻す作業はスムーズに行えました」(網谷氏)
導入作業は人事企画室のメンバー数名で実施し、給与明細のWeb化や、届出申請のワークフロー作成なども担当者が行っています。
「システム導入は初めての経験でしたが、わかりやすいUlyssesテンプレートとオデッセイの担当者のサポートもあり、紆余曲折はありながらも無事に稼働させることができました」と、経理・総務本部 人事企画室 担当室長 の瀧本祥大氏は語ります。
従業員への公開に際しては、導入教育を念入りに実施したと、経理・総務本部 副部長 人事企画室長 の今村宏之氏は振り返ります。
「工場勤務者の方など、システムになじみが薄い方もおり、給与明細のWeb化の周知に力を入れました。紙の給与明細からの切り替えも、段階的に実施しました。コロナ禍でペーパーレス化や利便性向上が歓迎されたこともあり、スムーズに受け入れられました。届出申請のワークフローについても、育児休業、在宅勤務と段階的に増やしています」
「守り」の人事から「攻め」の人事へシフト
ヤマサ醤油では現在、本社と関連会社3社をあわせて約1,100名分の給与計算と人事情報の管理でSAP SuccessFactorsを利用しています。導入と並行して実施した新人事制度への移行により、人事給与関連の業務は大幅に効率化されました。
「人事制度がシンプルになり、給与計算に関しては新しい担当者でもすぐに業務に慣れることができます。人事管理に関しても、業務の中で新たに気付くことが多く、日々勉強になっています」(瀧本氏)
業務負荷が軽減した結果、これまで手が回らなかった人事制度の改定など、新たな業務に人的リソースを当てることが可能になりました。
「従来の人事企画室は、給与計算や制度変更への対応など、“守り”の業務に時間を取られていました。人事・給与業務のシステム化でルーチン業務が減り、これまで他部署で担当していた新卒採用の会社説明会、既存社員の実務研修、退職関連の業務など、人事業務を全方位でカバーすることが可能となり、“攻め”の人事施策に注力することができるようになりました」(今村氏)
システム面においてもクラウドサービスのSAP SuccessFactorsにより、サーバー更改やインフラ運用から解放され、システム管理担当者の負荷も軽減されています。
人事管理システムの活用レベルを高めタレントマネジメントの実現へ
今後はオデッセイの保守サポートを受けながら、給与システムの法対応を継続していくほか、人事管理システムの活用レベルを高めていく方針です。
「人事管理については、社員の基本情報、業務経験、スキルなどのプロファイル管理や、上司と部下の紐付きやポジションの把握などの組織階層の視覚化に取り組み、より有効な人材活用につなげていきます」(瀧本氏)
さらにその先でヤマサ醤油が見据えているのは、タレントマネジメントの強化です。
「380年の歴史を持つ当社でも、グローバル化の流れを受けて、人材の流動性が高まっています。今後、人材の能力を最大限に活用して組織のパフォーマンスを最適化し、ビジネス戦略を遂行するには、旧態依然の要員計画や組織構造を見直し、人材の登用・育成と管理を一貫して進めていく必要があります。そのためにもタレントマネジメントが重要となるため、SAP SuccessFactorsのさまざまなモジュールを活用しながら、適材適所の人材配置を進めていきます。オデッセイには、人事部門のDX加速に向けて、SAP SuccessFactorsを使いこなすためのアドバイスと支援を引き続き期待しています」(網谷氏)